歴史・小説・スポーツ・実用書など、趣味で読んだ本の評価・感想を紹介するブログです。

定刻発車 / 三戸 祐子

2021/02/27
この記事を書いている人 - WRITER -

点数

72点

感想

不要な箇所が多く感じた。

興味をひかれる部分は、ほんの一部だけだった。

回復運転

運転士の技量は遅れた列車を回復させる時(回復運転)、最も発揮される。

たとえば2分程度の遅れが生じた場合、山手線の運転士はブレーキ扱いによって1つの駅で5秒程度縮められるという。
仮に1つの駅で1秒縮めれば、29の駅がある山手線1週で約30秒の回復となる。
山手線の駅間は平均1.19Kmと短いので、速度を上げて遅れを取り戻すのがむずかしい。

線見

運転士は新しい線区を担当することになると、「線見」といってまず線路の下見をする。
運転操作の要所を線路の状態や周辺の景色とともに把握するためである。
以下のような内容である。

あの松の木を通る時の速度は90Km。
左手に大きなビルが見えたところからは、先に半径400mのカーブがあるので、制限速度75Kmに備えて減速。
カーブを過ぎてからの直線は最高速度110Km。
信号機を確認して、1000分の20の上り勾配に入る。
上りきってからは、しばらく惰行運転。
下り勾配1000分の20では制限速度85Km。
橋を潜った直後に一気に減速。
分岐器の通過制限速度45Kmを確認。
段階的にブレークを弛めていって、最終的にはノーブレーキ状態でホーム停車位置に揺れなくピタリと止める。

よって、常磐線しか運転したことのない運転士に「中央本線をちょっと松本までやってくれ!」というわけにはいかないのである。

故障率

信頼度0.999の部品を直列に3個つなぐと、0.999×0.999×0.999=0.997 となり、1000回のうち997回はうまく働く計算になる。 これが10個だと0.990、1000個だと0.37、10000個だと0.00005、となる。

鉄道の巨大なシステムは、列車・信号・ケーブル・橋・トンネル・踏み切り・風速計・駅・従業員・乗客、など莫大な数の部品で成り立っていると考えることができる。
よって、直列ではなく並列につなぐ(冗長)構成が必要となる。

信頼度0.6の部品を並列に3個つなぐと、1-(1-0.6)×(1-0.6)×(1-0.6)=0.936 となり、4個だと0.9744、5個だと0.98976となる。
これが信頼度0.98の部品だと2個並列で0.9996、3個で0.999992、4個で0.9999998、となる。
莫大な部品(構成要素)のうち、重要なものや信頼度の低いものを並列につなぐことで、全体の信頼度を高めているのである。

人間の能力も並列に

人間のする作業は信頼度0.99とはいかない。
よって、並列につなぐ必要があり、鉄道員の細かい確認作業はこれを実現しているのである。

目で見て、指でさして、声に出して、の確認は人間の体に備わった「トラブルやミスを見つけ出す能力」を並列に使っているのだ。
たとえば車両火災があった場合、運転士と車掌は互いに連絡を取り合って仕事をする。そうすることで、互いにチェックし合いミスを減らすのだ。
また、鉄道員は連絡事項を必ず復唱する。
これも並列にすることで、信頼度を上げているのである。

【新しい記事】

【古い記事】

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© 上尾市民による書評ブログ , 2021 All Rights Reserved.