世界の宗教が面白いほどわかる本 / 池上 彰 (その2)

2020/10/31
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ユダヤ教

ユダヤ教とは

ユダヤ教とは「この世界を造り出した唯一の神を信じ、その神のいうことを聞くと約束した人びとを神が守ってくれる」という宗教です。
ユダヤ教を信じる人びとのことを「ユダヤ教徒」または「ユダヤ人」と呼びます。
ユダヤ教の経典である「聖書」(キリスト教での旧約聖書)では、この世界も人間も神が創造したものと書いてあります。
神が最初に作り上げた人間を「アダム」といい、土(アダマ)の塵からつくられたことが名前の由来です。
アダムのあばら骨から造り出されたのが「イブ」です。

モーセ

旧約聖書に登場する神ヤハウェは、指導者としてモーセを選び、ユダヤ人を率いてエジプトを脱出し、「カナンの地」へ戻るように命じます。
「カナンの地」とは、現在のイスラエルがあるパレスチナ地方のことです。
神がユダヤ人の祖先アブラハムに対して「与える」と約束した土地(約束の土地)で、ユダヤ人はここを自分たちのものと考えるようになります。
モーセはカナンの地へ戻る途中、十カ条からなる「十戒(じっかい)」を神から授かります。
十戒には「ヤハウェ以外を神としてはいけない」「偶像を造ったり拝んだりしてはいけない」などの条文があります。

ユダヤ人

「ユダヤ人」という言いかたは、実はとても難しいのです。
「日本人」や「アメリカ人」は「その国の国籍を持っている人」をさします。
一方、「アラブ人」「ゲルマン人」「スラブ人」などは「民族」や「使う言葉」をさします。
たとえば、「アラブ人」は「アラビア語を母語として話す人たち」をさし、国籍はサウジアラビア人だったりエジプト人だったりします。
しかし、「ユダヤ人」といっても「ユダヤ」という国があるわけではないですし、「ユダヤ語」という言葉を話しているわけでもありません。
「ユダヤ人」とは、「ユダヤ人の母親から生まれた人」と「ユダヤ教を信じている人」のことをさしているといえます。

アメリカのユダヤ人

アメリカ国内のユダヤ人(ユダヤ教徒)は約530万人で、人口(約3.1億人)の約1.7%になります。
しかし、アメリカの富豪上位400位のうち、およそ1/4がユダヤ人なのです。
ユダヤ人はアメリカに後から移民してきたので差別をされ、廃棄物処理や金融業(当時は卑しいとされていた)、新産業の映画界、などの職業に就いたためです。
安全保障理事会において、アメリカはイスラエルに不利な状況になると拒否権を使います。
アメリカには大統領府や連邦議会に影響力を持つロビー(圧力団体)がありますが、イスラエルに有利になるように働きかけるロビーが存在します。
主な著名人:スピルバーグ、キューブリック、ボブ・ディラン、マイケル・デル、ビル・ゲイツ、ポール・ニューマン、ハリソン・フォード、メリル・ストリープなど
ゴールドマン・サックス、リーマン・ブラザーズ(2008年倒産)などはユダヤ系の金融業者です。

シオニズム

現在のイスラエルがある場所に、2000年前までユダヤ人の王国がありました。
紀元1世紀、ローマ帝国によって滅ぼされヨーロッパ各地に離散します。
これをディアスポラ(離散)といます。
20世紀になると、ユダヤ人の国を建設しようという運動が起こります。
この運動は、エルサレムの北東に位置するシオン山にちなんで「シオニスト」と呼ばれ、推進した人々は「シオニズム」と呼ばれました。

仏教

仏教とは

仏教とは仏(ブッダ)の教えです。
ブッダは紀元前5世紀頃、古代インド(現在のネパール)のルンビニーで生釈迦族の王の息子としてまれましたため「お釈迦さま」とも呼ばれます。
本名は「ゴータマ・シッダールタ」といいます。
「ブッダ」という呼称は、サンスクリット語で「真理に目覚めた人」という意味です。
ブッダは29歳で出家、35歳で悟りを開き、以降インド各地で弟子が増え、80歳で亡くなります。
ブッダの死後、弟子たちがブッダの教えをまとめたものが「仏典」、簡単にいうとお経です。

輪廻

輪廻(りんね)は仏教の基本的な考えで、「すべての生き物は死んでも再び別の人間や生き物に生まれ変わり、いつまでもそれを繰り返す」というサイクルのことです。
仏教では、生きていることは苦しみと捉えますので、輪廻は苦しみがいつまでも続くということになります。
そして、「悟り」を開くことで輪廻から抜け出し「極楽浄土」で永遠に暮らすことができると考えます。
これを「解脱(げだつ)」といいます。

2つの派

  • 大乗仏教(だいじょうぶっきょう)
    文字通り「大きな乗り物」という意味で、「すべての人を救うことができる教え」です。上座部仏教に対して「ブッダならもっと大きな乗り物を用意してくれるはずだ」という思想にまとまっていきました。インドから中央アジアを経て中国へと伝わり、6世紀頃に日本へと伝わります。
  • 上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)
    「出家した僧侶だけが救われる教え」インドからスリランカを経てミャンマー、タイなどへ伝わります。

チベット問題

チベットでは7世紀頃に仏教が伝わり、8世紀には独特の仏教へと発展していきます。
そのシンボルが「ダライ・ラマ」であり、現在は14代目です。
毛沢東がチベットを中国の一部に組み入れ、支配しようとしました。
1959年、チベットの中心都市ラサで暴動が起こり、ダライ・ラマ14世はインドへ脱出しました。
ダライ・ラマがいまだにインドにいること、これこそがチベット問題の現状を表しています。

ミャンマー

天然資源が豊富で「東南アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマーは、国民の90%が上座部仏教を信仰しています。
1960年代から軍事独裁政権が権力を握ってきました。
1990年5月の総選挙で民主化の指導者アウン・サン・スーチー氏が率いる国民民主連盟が圧勝しました。
しかし、軍事政権によって氏は自宅軟禁され、民主化デモは弾圧されてきました。
2011年にテイン・セイン大統領が就任すると、民主化運動に対する態度が一変し、「政敵」に手を差し伸べるようになります。
民主化へ向け、今後どのようになっていくのでしょうか。

ヒンドゥー教

ヒンドゥー教とは

インドの人口約12億人のうち約80%がヒンドゥー教徒といわれています。
「ヒンドゥー」はサンスクリット語で「インダス川」を意味する「スィンドゥ」が訛ったものです。
紀元前1400~1200年頃、現在のインドの地に西からアーリア人がやってきてバラモン教が広まりました。
インドにもともと住んでいた人々が信じる宗教とバラモン教が混じり合い、4世紀頃にはヒンドゥー教の原型ができあがったようです。

ヒンドゥー教の神

ヒンドゥー教は開祖や教典が特に存在するわけではありません。
ヒンドゥー教にはたくさん神がいて(多神教)、教徒が自分で信仰する神を決めてよいことになっています。
有名なのは「ブラフマー神」「ヴィシュヌ神」「シヴァ神」の三神です。
ヒンドゥー教が仏教に取り入れられた結果、仏教にはヒンドゥー教の神を起源とするものが多く生まれました。
「大黒点」はシヴァ神が仏教に取り入れられたもので、シヴァ神の別名「マハーカーラ」はサンスクリット語で大きい(マハー)黒い(カーラ)です。

カースト制度

西からやってきたアーリア人は、インドの先住民を「カースト」という4つの階級に分けました。
また、4つの階級の下にカーストから外れた人びとがいて、「不可触民」と呼ばれました。
不可触民は人間扱いされず、上位カーストの人が触れると穢れるとされていました。
1950年に制定されたインド憲法において、カースト制度による差別は禁止されていますが、現在のインドにおいても根強く残っています。
というのも、日々の生活とカースト制度が結びついているからです。
たとえば、結婚相手は同じカーストから選ぶようになっていたり、カースト毎に職業が決まっていたりするのです。
IT産業という新たな職種はカーストから抜け出す大きなチャンスであり、英語や数学に強いインド人にとっては「インディアン・ドリーム」なのです。

インドとパキスタン

1947年、イギリス領インドがヒンドゥー教徒を主体とするインドと、イスラム教徒を主体とするパキスタンに分かれました。
このとき両国の国境付近にある地域、特にカシミール地方が問題となりました。
カシミール地方の藩王はヒンドゥー教徒でしたが、住民の大部分はイスラム教徒だったのです。
2002年には核戦争の一歩手前という状況もあり、2013年になってからも両国の戦火は絶えることがありません。

神道

神道とは

神道は「しんとう」と読みます。「しんどう」ではありません!
神道は6世紀に仏教が日本に伝来する以前から存在していました。
大自然のあらゆるところに神々が宿っていると考えるため「多神教」の宗教になります。
神様の数がとてつもなく多いことから「八百万(やおよろず)の神」などと称することがあります。
神道では、死後の世界を「黄泉(よみ)」といい、死ぬことを「他界する」といいます。
死後は、今生きている世界とは別の黄泉の世界に行く、という考えです。

国家神道

明治維新にて神道は国の宗教「国家神道」となりました。
それまで仏教が勢力を保持していたのですが、それをよしとしない神社側が、明治維新を契機に巻き返しを図ったのです。
これにより「神を先祖に持つ」天皇が現人神(あらひとがみ)と位置付けられ、天皇のもとで神社を信仰することが義務となったわけです。
第2次世界大戦中は神道意外の宗教は弾圧されました。
国民が一丸となって戦争しなければならない時代における、暗い歴史ですね。
戦争後は国家神道という考えは改められ、宗教を強制されることはなくなったのです。

神社神道と教派神道

神道は大きく2つに分かれます。
・神社神道系
全国8万件余の神社を中心とする神道で、統括しているのが神社本庁です。
神社本庁の本宗(ほんそう)は伊勢神宮ですので、伊勢神宮は「神社の中の神社」といえるでしょう。

・教派神道系
教祖が始めた神道のこと。(教祖が存在する)
明治時代に国家から公認された「神道十三派」や、それ以外の新たに設立された教団があります。
神道十三派には御嶽教や天理教、出雲大社教などが含まれます。

神典

神道には決まった聖典はありません。
その代わり「神典(しんてん)」と呼ばれる書籍の集まりが伝わっています。
神典は神道古典の略です。
神典のなかで最も重要なのは「記紀二典」ともいわれる「古事記」と「日本書紀」です。
さらには、「万葉集」や「古風土紀(こふどき)」なども収録されています。

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