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政治家の覚悟 / 菅 義偉(その2)

2022/05/01
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第5章:マスコミの聖域にメス

  • 著者は「テレビの電波料金を5倍に引き上げる」と表明した。
    当時、放送事業者の電波利用料の負担は38億円であり、これは携帯電話事業者の負担の15分の1だった。
    そして、2008年度から徐々に引き上げ、2010年度には51億円となった。
    著者はこの値上げのために民法各社を事前調査していて、40歳平均年収が2,000万円であることを知っていた。
  • 著者はNHK受信料の支払いについて「未払いの人もいて不公平な状況」「国会に受信料支払いを義務化、および受信料を2割値下げする法案を提出する」と表明した。
    しかしNHKの橋本会長が一向に値下げを受け入れようとしなかったため、会長を選ぶ権利を有する「NHK経営委員会」に人を送り込み、外部から会長が起用される流れに変えた。
    その後、受信料の9%値下げも実現された。

第6章:「伝家の宝刀」人事権

  • 財務省ではノンキャリアでも能力があれば抜擢されていたが、総務省はそうではなかった。
    著者は総務大臣になると、ノンキャリア職員を局長に任命、省内で大きな話題となった。

第7章:政務官でも仕事ができる

  • 著者が国土交通大臣政務官だったとき、ETC車載機は国内の2社が交互に落札していたため約3万円もしていた。
    著者の指示により海外メーカーなども12社参入し、6千円前後まで価格は下がった。
  • アクアラインの通行料は3千円もしていたが、国交大臣や国交省官僚は値下げに反対していた。
    著者は「3千円を2千円にしても交通量が1.5倍になればチャラ、それ以上増えたらプラス」と主張した。
    それでも税務省主計官が反対してきたので「利用者、国民のためになるし、せっかく作ったものは利用してもらってこそ価値がある」と説得、ETC搭載車のみ2千円への割引が決定した。
    その後アクアラインは千葉県の負担によりETC普通車800円となった。
  • ETC車の首都高深夜割引を実施しようとしたら、首都高の理事が騒音を理由に反対してきた。
    著者は「騒音なら昼間も同じだろう。第一、騒音対策はさんざんやってきた」「夜中は走らせられないなんて理事はやめさせろ」と怒った。
    すると、騒音というのは実は方便で、ETCの普及により料金を徴収している職員が人員整理されては困るというのが本音だった。
    しかも、その団体は国土交通省の天下り先になっていた。
    著者は「こんな理由で国民が不利益を被ってはたまらない」と、それ以降ETCの普及を強力に推し進めた。
  • 日本の港湾手続きは煩雑な書類の手続きが多く、他の国では1,2日で終わるものが3日もかかっていた。
    これを簡素化しようと何度か会議を開いたが、関係する省庁の官僚が自己主張を譲らないため改善はされなかった。
    実は、各手続きを行うシステムが関連省庁ごとに別になっており、各省のシステムは退職後の受け入れ先になっていた。
    このような理由で利便性が損なわれてはたまらないと、著者はシステムの統合を指示した。

第8章:議員立法で国会を活性化

  • 元朝鮮総連の人物が「万景峰号は1回に10億〜20億円の現金を北朝鮮の金正日に届けていて、年間総額は数百億円になる」と告白した。
    また、逮捕された朝鮮労働党のスパイも「万景峰号の船長や同乗してきた幹部から指令を受け取った」と供述した。
    著者は「このような船が堂々と出入港するなどとんでもない。禁止する法律があってしかるべき」と自民党内で主張したが、反対意見が多く内閣が提出する閣法に持ち込めなかった。
    そこで、勉強会を作り研究・検討を重ね、議員立法として「特定船舶の入港の禁止に関する法律案」を提出し、2004年6月に成立させた。
  • 振り込め詐欺は「他人名義の口座」「プリペイド携帯」「名簿」が三種の神器となっていた。
    著者は口座売買とプリペイド携帯を法律で取り締まることができないかと勉強会を立ち上げた。
    そして、口座売買に関しては「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」を議員立法で提出し2004年12月に成立させた。
    さらにプリペイド携帯の取得に本人確認を義務付ける「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」を2005年4月に成立させた。

第二部:官房長官時代のインタビュー

  • 特定秘密保護法について著者は「一般の方々の生活には全く影響はない」「報道の自由や表現の自由を損なうようなものでは100%ない」と断言している。
    国家の安全を守るためには、関係各国からの情報が必要である。
    例えば、北朝鮮がミサイルを発射した場合、詳細情報を持っているのはアメリカである。
  • 安全保障関連法により集団的自衛権の行使が可能になった。
    2015年の世論調査での日本の安全についての回答は「日米の安全保障体制と自衛隊で守る」が84.6%、「自衛隊だけで守る」が6.6%であった。
    例えば北朝鮮から攻撃された時、米軍を日本が支援しないとなれば米軍は本気で日本を守ってくれるでだろうか。
  • 著者はかねてから「日本の携帯電話料金は高すぎる」「料金体系が不透明でわかりづらい」と主張していた。
    2018年6月時点での大手3社のシェアは89%もあり、利益率は20%前後と非常に高かった。
    (大企業の利益率の平均は6%)
    また、契約内容が複雑で、端末代と通信代の区別がつきにくいというのも問題であった。
    さらにSIMロックと2年縛りが正当な競争を阻んでいた。
    著者はこれらの問題に尽力し、途中解約時の違約金は法改正により上限を1,000円に引き下げられた。
  • 全国に1,460のダムがあるが、水害対策に活用されているのは国交省所管の570のダムだけで、残りは経産省の電力用、農水省の農業用、となっていた。
    まさに行政の縦割りの弊害であった。
    著者は、国交相が全てを運用する体制を整えた。
    その結果、水害対策に使えるダムは46億立方メートルから91億立方メートルに倍増した。

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